絵の広場・管理人徒然コラム
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| 第20回 2003,8,8 大安 | S君の・・リハビリについて考える。 | ||||
| 介護について《S君の・・リハビリについて考える。》
《今回は12年に及ぶ両親の介護を振りかえりつつ矛盾に感じる事を書いてみます。》 12年前になりますが、私は母を伊豆月ヶ瀬の慶応大学リハビリセンターに約9ヶ月入所させ、リハビリ療養を受けさせた経験があります。その間に家の改造をし、家に戻って以後は病魔とだけではなく、健在だった父の精神的負担を軽くさせる為のケアーにも力を注ぎ、それこそ、一番働き盛りの時代を介護に費やしました。 毎日、毎日が思わぬ出来事の連続(病魔と老いと種々手続きとの戦い)で私自身がおかしくもなり『時間泥棒』と叫んだ事も有ります。母の発病の頃はまだ「介護」と云う表現は使い始めの頃で、認識も浅く、都市、市町村間でのサポートに関しては驚くほどの差がありました。現在も住む地域の財政状態によりこの介護サポート差は解消されていない事と思います。例えば、オムツ一つにしても支給する、しないの差が歴然と有ります。まして、家のバリアフリー化への助成金などには大きな差が有ります。 私にとって、とても寂しい事ではありますが昨年無事送る事が出来、介護から解き放されて少しは我が身の事をも考え始めた矢先のこの冬、魔が差したと言うんでしょうか、友人のS君が頸椎損傷の事故を起こした。と云う知らせを聞きました。 この半年間、見舞いたい気持が強かったのですが辛かった時を思い出してしまいS君には大変に無礼をしていました。が、意を決して伺いました。今までの経験から色んな症状の人を見、あるいはそのご家族からの相談さえ受けた事が有る身ですが、やはりさすがに中伊豆リハビリセンターまで伺う道中は思い出で暗く、憂鬱になりました。 受付で部屋を聞き、彼に会いました。約10ヶ月ぶりでしょうか。車椅子に座る彼を見た瞬間、直感ですが《彼は元に戻る》と、感じました。通常頸椎をひどく損傷した方の車椅子での座り方には特徴が有ります。が、S君は姿勢が実に正しく背中が伸びていましたから、彼は戻れる。と感じたのです。それまでの沈鬱な気持が吹っ飛んで嬉しくなりました。・・彼に明るく接する事が出来て実にホッとしています。 よもやま話しをしながら、手を握り、指の関節を伸ばしたりさすったりしながら、ついついお節介にもリハビリの話しをしてしまいました。彼によると、頸椎内の神経は無事だとの事。ではなおさら将来手術による完全復帰も可能ではありませんか。私でさえ頸椎の軟骨老化が激しく、医者からは手術を勧められている身なのですから。(手足にしびれがある) 然しながら、午前、午後それぞれ1時間の訓練があるだけ。と、少し私には理解できない話しでした。 母の頃はまだ個人的に付き添い介護人をお願いしてリハビリに精を出す事が出来たのですが、現在はこの《付き添い介護人制度》は廃止されて早10年。訓練時間以外は全くの無駄な時間になってしまうのです。やろうとすれば、家族が付き添うしかありません。が付き添い人ベッドも廃止。・・これはおかしい!!・・失政ではないでしょうか? 国自体のマイナスではありませんか!! 保険制度の範囲内で全てを一律にまかなえ。との厚生省の指導に、医者・看護婦・療法士・事務局あるいは役所窓口の困惑は手に取るように分かります。然し、これらの人がもう少し一歩踏み出して下されば、S君のように早期復帰可能な人まで追い込む事はないでしょう。その為のリハビリ制度でなければ、《付き添い介護人制度》を廃止した意味がありません。リハビリセンターの理念と異なってきます。 この事に付き、経験から書きます。 ・・・回復を早まらせるのがリハビリの重要な一つの目的です。その背後には早期社会復帰が待ってます。・・・ここで云う彼を追い込むとは・・彼自身が生産性の高い人間であり、家庭での大黒柱であり然も親を抱える身でも有るのです。センターでの期間をきっちりリハビリさせる事は、戻ってからの回復に著しく効果をもたらすと、統計にも出ている筈です。 公務員が彼と同じような状態になった場合、2/3の給料が退職時まで保証され、退職金は健常者と同じ額を頂く筈です。が、これら公務員には何ら生産性はありません。考えるべく問題点です。(ここで言う生産性とは経済理論によるモノではなく経済社会活性の動力を意味します。) 母の場合は障害度4でしたが、センターでの訓練以外に、付き添い介護人にリハビリを頼み、私共も療法士と共にリハビリ訓練を致しました。付き添い介護人への支払いは当時1日約1.5万円。これに対しての助成金は月30万円以上の費用が掛かった場合に上限12万円位だったでしょうか。これ以外に入院費が掛かり、これは国民健康保険、老齢者保険が効きました。それでもおおよそ月9〜12万円位掛かりました。・・・この《付き添い介護人》費用への助成金は早く社会復帰させる事で税収入を上げる為だったと聞き及んでいます。ですから社会保障ではあるが《付き添い介護人制度》は単なる社会保障とは違う意味に考えていました(助成先が異なっていた)。が、年金運用の失敗が当時から云われ、《付き添い介護人制度》は廃止されたのです。少なくとも私は当時の医師からも聞き及んでいます。 まだ母の場合は老齢者(70才以上)であった為、家族の支払いは賄いが可能な範囲でしたが、若い人の場合は70歳以上とは比べものにならない支払い金額でした。現在はどうなっているのでしょう。 この母が家に戻ってから、娘の心臓手術という最悪の事態をも経験しました。手術室に入っても私は心配で認め印を押しませんでした。あげく子供病院の院長から大勢のスタッフにご迷惑を掛ける羽目になりました。が、この時の執刀者は27才の若き医師で術後30分で娘に歩かせました。結果、退院まで1週間でした。・・・私の盲腸の時は、退院まで2週間。 医療技術の進歩は目を見張るものがあります。それに比べて、リハビリシステムは如何でしょう?・・短い時間でしたが、母に毎日していたリハビリを少しS君に致しました。彼曰く「その方法は初めてだ」と云うのです。リハビリセンターによって方法が異なるのでしょうか? そうは思いません。このリハビリと介護システムは胡座をかいてしまい機能を発揮していないのです。現場の人間は当初の志を忘れ、忙しさの余りおざなり公務員的になっているのです。患者を診る目が曇っていると思いました。まして、S君は、老齢患者さんとは違います。この社会にとっての有益な戦力たる人間です。差別で言っているのではありません。「商店の嘆き」でも書きましたが、今日の少子化。独立夫婦の子供不要論。官僚の資金運用失敗から全てに悪循環が始まっています。・・そんな時代ですから、システムの改善を求めるのは当然でしょう。 私の見方は独善的でしょうか? 少なくともこのコラムをお読みの方はS君の状態を分かりませんから。・・患者さんそれぞれの症状、生い立ち、環境、経済状態、皆違う訳です。・「あんたの言う事おかしいよ、所詮無理なんだよ」とおっしゃる人もいるでしょう。が、介護経験のある方には少なくともご理解できると思います。リハビリ生活の後、バラ色の元通りの生活はあり得ないのです。家庭崩壊さえあるのです。それを避けるべく訓練するのがリハビリの一つの使命です。メンタルな部分を診てやるのもセンター内にいる、医師、療法士、事務局、全ての健常者達に求めても宜しいでしょう。医療は技術だけが発達している訳ではないはずです。 私がS君に直感で感じたものは経験が感じさせたものと思います。彼が当初、担ぎ込まれたところの医師は《将来の手術》をも考慮に入れて彼を、当座のリハビリに専念させていると信じます。現在の彼にはリハビリの時間が少なすぎます。彼自身でするには少し無理な状態ですし、介添人が必要でしょう。 システム上、彼が入所しているセンターでの訓練は患者一律に時間配分するだけなのでしょうか、彼が私の家族であるならば家に引き取り家でリハビリ致します。これは怒りではないのです。全てのシステムの硬直化がそうさせているはずです。少なくともS君のような立場の方は全国に多いはず。先端医療のみに目をやらず、今後、誰もが直面するであろうリハビリ及び介護のシステムを今一度考える時期と思います。 日本の年金システムは独自のモノとして発達して来ました。が今日、介護保険を40歳から払わなくてはいけません。この保険で老後の介護に期待するならば、年金システムは崩壊したも同然で、若い人は外国の安定した生命保険へ個人として入れば宜しい訳です。何でもかんでも一律に納めようとする日本の悪き弊害が、S君のリハビリシステムにも現れています。先端医療は発達していますが、この国民レベルでのシステムは、母の頃より衰退していると感じました。 自身の経験を紹介しながら話さなければならない今日の介護・リハビリの状況です。極めて残念に思います。これは健常者が将来を考え自らの事として考えるべき問題です。親戚、ご近所さん、友人、独立した兄弟さえ誰一人同じ環境の人は世の中におりません。私は母が我々家族の介護に満足していたとは思いません。S君も同様に歯がゆく感じるはずです。 今回はS君の社会復帰を確信してのコラムです。その復帰への道取りを社会システムでのサポートだけでは限界が有る。と云う事を皆さんにご理解して頂きたい。家族だけでは本当に大変で辛いです。是非、皆様の周りを見回してやってください。 さて、今回対比させる意味で母の事、娘の事を書きました。厚顔とはこの事を言うんでしょう。天国にいる?母上、遊びまくる我が娘、話しちゃってゴメン。S君には次回会うのは家に戻ってからだね。と話しましたが、時間があればセンターの方へも遊びに行きたいと思ってます。 |
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