絵の広場・管理人徒然コラム
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| 第53回 2008,2,26 | 庶民の経済環境 | |||
| 額縁業界の現状について・・ 平成20年2月末現在 いわゆる団塊世代の大量退職に伴い、色々と将来に渡っての不安材料が出て来ていますが、私が扱う額縁の業界に於いても顕著な問題になってきています。 【第一に、】 環境問題からくる材料確保が以前より相当苦しくなりました。 中国がインドネシアのラミン材を無秩序に伐採し、あげく、それを輸入して「安い」と喜んでいた日本人民の無駄を伴った大量消費、ポイ捨て。 現在、ラミン材に関しては国連からも介入がなされましたが、インドネシアの相変わらずの環境破壊は続き、更に、中国はアフリカ政府役人に賄賂を渡す事で、貴重な黒檀材などの木材を動物環境をも省みず伐採に走っています。 その行き先は、我が日本です。 フランスはギニア等の旧植民地の森を丸裸にする伐採をしました。お陰でフランス家具には素晴らしい工芸品が残りましたが、現在となると日本同様、材料の手配に苦しんでいますし、ギニアではかっての森は戻っておりません。 こんな状況を見てカナダ政府はロッキー山脈の木材伐採を従来の1/5まで減らしていますから、良い木材の輸入は益々不能へと向かっています。 大阪西成区を中心にプラスティック成形家内工業が発達しましたが、ここもスーパー等の大量仕入れ大量販売の煽りを受け、盛期には200件とも言われた家内工業は1件残らず倒産ないし商売替えをしました。 これは、壁に掛ける鏡、手鏡、台所及び風呂場などで使う商品の消滅を意味します。が、この中から何軒かが韓国に渡り、現在、プラスティック小物商品は韓国製に頼っています。 そんな状況は日本人の行け行けドンドンの大量消費生活が大きく陰を落としています。 結果、私の扱う額縁業界では、まず、4年前の最大手から倒産が始まり今年に入っては画材を手広く扱う商社と金具メーカー、そして対写真業界の有力商社が揃って倒産しました。この間有力メーカー、卸専門業8社の消滅です。 団塊世代の定年をはじめとする趣味生活予備軍は、「これから」と云う時になって現在の状況に驚き気持ちも暗くなるでしょう。 何せ、絵とか工芸を始めたいと思っても、材料、画材、額縁を何処で求めるか相当難儀が予想される時代に突入した訳ですから。 そんな時代です。身から出たサビ。といっても若い人達には可哀想な気がします。 【第2に、】 職人さんの消滅です。 どの業界でも、一番頭を痛めている事でしょう。我が額縁業界も同じです。 50代以降の若い人が職人仕事に参入してきません。農業と一緒です。 私の抱える額縁職人は60才以上が6人。最高齢は76才。全員社員としてではなく、それぞれの得意仕事に併せ依頼していますが、専属という形を取り彼等に長く続けてもらうためのシステムを取っています。 2年ほど前に会社仕事に馴染めない手先の器用な若者2人をかろうじて採用できましたので66才の職人に預けています。 然し、育てるにしても悩みはつきません。 店とか画廊に飾られた絵画&額縁は綺麗に見えるでしょう?が、制作の段階では土木作業員と同様に汚れ、彼等以上に神経を使います。 まず、2mmのガラスをカットする事だけでも非常に難しいです。手も切ります。 建築用の厚板は堅い故、カット自体は以外と楽ですが柔らかい2mm厚のガラスをカットするには相当の訓練が必要です。 1メートルの長さを1mm巾だけ手作業でカットする技術の持ち主は、恐らくそんな多くはいないと思います。 立派な建具に組み込まれたガラス修理を頼まれますが、これは私だけの仕事。然し、もう断るようにしています。 世知辛く、行ったり来たりの経費と時間を見てくれる人が少ないからです。 こんなガラス仕事も額縁制作には組み込まれています。 【第3に、】 時代の流れ。と云うのでしょうか、現在の石油高騰は今後ますます重くのしかかってきそうです。 輸送費にしてもそうですが、ガラスの値段を参考までに言いますと *建築用厚板ガラスは工事費込みで2年前の約40%アップ。 *2mmガラスで約30%アップ。 2mm鏡は生産中止。 私には、別組織としてガラス工事部門も有ります。が昨年秋の見積もりは全てキャンセルを指示しました。ですから、元請け建築会社の担当者とはぶつかります。が、今回ばかりは譲れず、やれないモノはヤレナイ。です。 マンションが増え、割れにくい良質のガラスが生産されていますが、逆に、町のガラス屋さんは8割方消えました。当然、私の処でも無理はせず、他社が請け負ったマンションの修復仕事は断っています。 何せ、こちらの工事部門の方も一番若いのが47才です。大きい仕事はメーカー派遣職人を使ってしのいでいます。 以上が現在の私を囲む生活環境です。 インターネットを見ても価格競争ばかり、これでは自らの首を絞めるだけです。最近になって、多くの同業者から問い合わせも多いですが、丁重にお断りしています。生活レベルの低下は確実です。 人間とはおかしな生き物で有る事は、皆さん先刻ご承知でしょう。 一律な規範は返って反感され逆効果をもたらせます。 悪循環に陥る社会、いや世界経済。どうなりますでしょう。 若い人達の無防備ぶりが余りにも気になります。そうかと言えば、優秀な人は特別に秀でている。アンバランス過ぎます。 2月25日のNHK放送「恋人の間での暴力が激増」とは、これからの時代をどう読めば良いのか分からなくなります。 さてさて、暗いコラムになりました。天候の所為に出来れば幸いなのですが、皆様、是非周りを今一度お確かめ下さい。同様な事を感じると思います。 最後に、現在の状況を作り上げている経過を再度チェックされる事を希望します。同時に、国際競争のみに顔を向ける企業論理に苦言を呈しておきます。
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